製材・集成材・CLT(直交集成板)メーカーの㈱サイプレス・スナダヤ(愛媛県西条市小松町新屋敷甲1171-1、砂田和之社長、0898-72-2421)を訪ねた。
 同社は高度技術産業の集積活性化を促進する、西条市北条の造成団地「東予インダストリアルパーク」内、66.000㎡(約2万坪)の敷地に、木材加工をトータルにレイアウトした新工場を建設したが、建設に至る経緯などを聞いた。
道路用地の収用に伴い新工場建設へ 
 まず、この小松バイパス計画は1989(平成元)年頃に浮上していたのですが、時の景気下降とともに、この道路計画は余り話題になることもなく薄れていきました。しかし2013(平成25)年頃から小松バイパスの有用性が高まり、計画が本格的に動き始めると同時に、工場の移転プランも並行して進めていたわけです。
 本社工場前を通る国道11号線は、四国北部を瀬戸内海沿いに徳島、香川、愛媛の主要都市230㎞を結ぶ主要な幹線道路で、その一部区間となる小松バイパスも交通の緩和と事故多発の防止等の計画に伴う工事の着工で、工場敷地の一部の立ち退きを余儀なくされたためです。
 工場の敷地は現在約8,000坪ほどあり、そのうち約2,000坪が収用されることになりましたが、この収用される用地には原木土場やボイラ、乾燥装置のすべてがありました。この本
業である基幹設備が使用できなくなる、かと言ってこらの設備を残る敷地内に移設することはとても狭くてできません。さらに稼働中の製材設備も経年と共に生産効率も低くなり、現在地での設備の更新投資は当然考えられずに、全面移転を決めました。

創業127有余年の歴史と事業のさらなる継続に、
約78億円の投資とその展望

 新工場では、今まで用材として多く使ってきた米ヒバは、構造用集成材のみに生産を特化してCLTには使いません。これからは国産ヒノキを主力におくことになります。愛媛県は全国でヒノキの産出量が常に1、2位を争っている県であります。
 現在の消費量については、ヒノキが月8000㎥くらいですが、生産能力のアップと集材の確保は十分できる見通しを持っていますから、いずれ近いうちに12.000㎥くらいには引き上げようと計画しています。スギは、CLTのラミナ用に10.000㎥から20.000㎥を基本的には考えています。また、ヒノキでCLTが欲しいというオーダーがあれば対応することはできます。我が社もCLT生産は初めてですから、建築デザイン、設計者、施工する人、総じてアーキテクチャに関わる方々の協力を願っています。
 今、CLTを生産する工場という名で業界の注目を集めていますが、従来の主力製品としている米ヒバ、ヒノキ、スギ、ホワイトウッド等の一般集成材から中断面集成の梁を始めとするムクの柱・土台等の構造用躯体製品からチップまでを、そしてCLTを加えて生産を一貫して木資源を真にムダにすることなくトータルな生産工場として長年の技術と経験を継承して、経営に生かしていきたいと思っています。
 今から案内をする新工場は、第一期工事の製材工場と集成材工場です。この集成材工場にはまだ木材欠点除去装置・ウッドアイ(スエーデン)とその仕分けラインの移設ができていないので空スペースがあります。そして第二期工事となるCLT工場の建物はほぼ仕上がっていますが完工は7月末です。建物ができればCLT生産設備が搬入されラインの設置が終わるのは12月末で、あとは試運転等々を経て本格的な商業生産は来春4月とみています。
 今回の設備したメインとなる製材機械は、ドイツのリンク社(LINCK)、集成材工場は、スロベニアのレディネック・エンジニアリング社(LEDINEK)、CLT工場には、イタリアのエセットレ社(ESSETRE)のCNC加工機など、主要機械は欧州三国からの輸入機で主に構成しています。

                                                               Woodfast '17-07

目視によるラミナの選別

ボードエッジャー オペレータールーム(EWD社)

製材機オペレータールーム (LINCK社) 写真上

日本初輸入の木材加工機械をメインに !
製材→集成材&CLTの一貫生産を目指す
㈱サイプレス・スナダヤ(愛媛・西条)を訪ねて

ラミナ仕上げ 高速バーチカルモルダー (LEDINEK社)

 ㈱ サ イ プ レ ス ・ ス ナ ダ ヤ の あ ら ま し

 もとは、1688年(元禄元年)に初代・砂田屋与左衛門が「砂田屋」の屋号で、当時地元の主な産業であった塩田業を営んでいた。その塩田作業の用具となる「塩鍬(しおくわ)」の製造・販売を手掛け、塩鍬の柄の材料であった“桜の木”を多く取り扱った。これが縁となり、材木商への道へとつながった。
 1892年(明治25年)創業者・砂田要次が蒸気機関式製材機を導入した。当時は地元のスギ、ヒノキの製材を主体に材木商として「砂田屋材木店」を開きその後、社名も時代と共に変遷し「砂田屋産業株式会社」を経て「株式会社スナダヤ」となり、2005(平成17)年9月1日より主力製品となる「米ヒバ」の扱いを、より一層に誇りある生業を目指して「株式会社サイプレス・スナダヤ」と社名を改め、現社長で4代目となる。

 1955年(昭和30年)代後半に全国各地の港湾地帯に木材工業団地ができ、愛媛県にも何箇所か団地も造成されたが、同社は南洋材や米ツガ、米マツといわれる一般材の扱いには参加せずに、ここ地元でアラスカ、カナダから輸入するレッドシーダーを胴ぶち、垂木に製材して関西圏に多く出荷した。その中に一部だがイエローシーダーといわれる米ヒバが混在してきたので、製材を試みたものが、今では主力製品として増加してきた経緯があった。
 その後、レッドシーダーは輸出禁止となり、止む無く手掛けていた米ヒバ製材に特化することになった。当初は構造材ではなく和室造作に使われる役物主体の製材品の生産が続いていたが、これはバブル期以前までのことで、その後、住宅様式にみられる和室の間取りが減る傾向

に危機感を持った。が、住宅構造材のプレカット化時代が訪れ、それらの部材要求は精度が求められる乾燥材へとシフトする動きが顕著に表れてきた。当時は柱材の人工乾燥は難しいとされていた時代で、同社では米ヒバをラミナに挽き人工乾燥後に集成管柱の生産から始めた。
 米ヒバの性質は、腐朽性に優れるため防腐効果があり腐りにくい特性を有していることから、集成土台を構造材として最初に開発し商品化したメーカーとなる。特に住宅の土台分野での米ヒバの集成材或いはKDのムク材、最近では国産材の流れから、愛媛県はヒノキの蓄積量が多い産地としてヒノキの柱材や集成土台も併せて生産し現在に至ったたが、ここにきて新工場は社業の新たな礎に向けてスタートした。

定量機 400㎥×2基 (古田除塵機㈱)

中断面仕上げ4軸モルダー (西丸工業㈱)

左のモルダーへの投入装置 (西丸工業㈱)

ラミナ強度選別ソーター (内外工業㈱)

高速フィンガージョイント/フィンガーカット (LEDINEK社)

メインラインLINCK社チッパーキャンター製材機 (右側)
/左側にEWD社製ボードエッジャー

LINCK 1号・2号ユニット間の送材(左奥)メリーゴーランド方式/
メインライン送材(中)/右手前センターキャンツ2丁取り分離ライン

 新 工 場 見 て 歩 き ス ナ ッ プ

7月末の完工を目途に建設が進むCLT工場約8250㎡ (撮影:6月28日)

社員休憩施設と製品倉庫

ラミナ ラフ削り 一次モルダー (LEDINEK社)

ラフ削りモルダー(写真右)を通して→仕上げモルダー(写真左)で面のきれいな角材製品に (西丸工業㈱)

オガ サイロ 250㎥×2基 (東洋プラント㈱)

バグフィルター3基 (古田除塵機㈱)

ラミナ用中温乾燥装置157㎥×8基 (㈱新柴設備)

正角用高温乾燥装置45㎥×5基 (㈱新柴設備)

タンデムリングバーカー 4m材 最大7本処理/min
末口最大径50㎝ (㈱富士製作所)

高速フィンガージョイント
自動ラミナ投入装置 (内外工業㈱)

イソシアネート積層用
全自動回転コンポーザ (小林機械工業㈱)

高速フィンガージョイント
接着養生ライン及び長さカット (内外工業㈱)

高速フィンガージョイント長さカット (内外工業㈱)

ラミナ用グレーディングマシン (飯田工業㈱)

高速フィンガージョイント連続プレス (LEDINEK社)

製材ソーターライン (内外工業㈱)

製材ライン/1号ユニット出口 (LINCK社)
サイドカット材は落下、センターキャンツは左に送材する

オフィスに展示している各種製品

提供写真:ドローン空撮
       2017.05.29

URL http://www.sunadaya.co.jp

①原木選別機   ②製材工場   ③乾燥装置   ④CLT工場   ⑤集成材工場   ⑥製品倉庫   ⑦社員休憩施設 

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