小林組合長
(写真)は、1942(昭和17)年9月に現在の中国吉林省で生まれた。3歳時、家族で帰国したのち、1961(昭和36)年3月網走郡美幌町の道立美幌高等学校林科を卒業、札鶴ベニヤ㈱に就職した。その後、父親の仕事関係もあって転職も多かったが、町役場の林務課、営林署などを経て2003(平成15)年4月に協同組合ウッディハウスおけとの専務、組合の理事・副組合長を勤め、2014(平成26)年4月に組合長に就任。振り返れば林業畑を長年歩んできたと語る。そのザックバランで気さくな語り口が印象的であった。

工場駆け歩きᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳᅳ

      
《大断面集成材を用いた木構造の工場》
 
 組合事務所から5分ほどの製材工場(置戸町字川南36-1)の機械設備を撮り終えたあと、時間が押してしまい中岡正文工場長
には簡単に話を聞いた。

作業も機械も余力ができるくらいにしたい…

 この3月1日に工場長に新任したばかりです。まず、やらなければならないことは、工場はとてもいい設備なので生産高が気になるところです。今は寒冷期なので生産量も少ないが、これから6月くらいまでに生産量を徐々に上げて、さらに夏場で生産量をピークにもってゆき余力を残すくらいにして、やがてくる冬場に備えたいなと、それとラミナ挽の量も増やしていきたいところ。いずれにしても作業員も機械も余力ができるくらいにしたいと思っています。
組合事務所
 
 昨年3月に新工場が完成、その名もユニークな新生紀森林組合(北海道常呂郡置戸町字置戸164、小林満 代表理事組合長、電話0157-52-3536)をこのほど訪ね、小林組合長に話を聞いてみた。なお、今回の取材では機械設備を担当した木材加工機械ディーラー㈱コーエキ(旭川市、野田正峰社長)の協力で実現したもの。

“新生紀”と名付けた訳は…?
 当組合の前身である置戸町森林組合は1942(昭和17)年4月に設立した長い歴史があります。当地名の置戸(おけと)町と隣町の訓子府(くんねっぷ)町は、「平成の市町村合併」を推進していた1999(平成11)年当時、町を合併するか否かで両町は合併の合意に至らなかった経緯がありました。
 その後の2001(平成13)年の9月に、置戸町と訓子府町にあるそれぞれの森林組合は協議の末、合併することで合意ができた。合併の手続きの中で、組合名はどうするかが議題となった時に、両町地名の冠名に拘らず組合が新たに一つに生まれ変わるとの願いを込めて“新生紀”と命名した訳です。新生紀森林組合となってから既に14年目になりますが順調に活動を続けています。現在、組合の受け持つ森林面積は町有林含めて約7.000haをエリアに組合員数は670名です。

新工場と主な生産品目は…?
 当地域はカラマツ(落葉松)が主産地であり、戦前、一斉造林されたカラマツが8~9齢級の伐期に成長したものが多くあります。組合員は長年に亘って林業に関わり、苦労を積み重ねて育ったカラマツの付加価値を高めようと「平成25年度北海道林業・木材産業構造改革事業」の補助事業を活用して2013(平成25)年6月から加工施設建設を進めて、翌年の2014(平成26)年2月に製材ラインをメインにした工場が完成した。工場の建物もRC造より建設費は嵩んだが、木を共に加工する意味でカラマツの大断面集成材を構造に用いた自慢の木造棟工場です。
 生産品は、梱包材、パレット材を主力に生産し、製品は道森連にまとめて出荷の仕組み、そして製材で出る端材はチップにして製紙会社へ、オガコは畜舎へと大切な素材を無駄なく活用しています。ただラミナ向けにはカラマツ特有の乾燥時のネジレもあるが、ラミナとして有効活用の道も進めているところです。

再造林が進まない…?
 山の持ち主でもあり、長年、林業と農業を兼業で営んできた人たちが、残念ながら山の手入れや跡取りがいないこと、そして高齢を理由に離農したい人が増える傾向がでてきた。そこで起きる問題として、組合に山を立木ごと買ってくれる人を斡旋してくれないか、と寂しい相談が増えつつある。その影響はいずれ再造林が進まない課題を抱えることになると思っています
 
 
woodfast '15-4
置戸町
訓子府町
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両町の組合が新たな願いを込めた
新生紀森林組合
(北海道・置戸町)
新工場を訪ねて
組合事務所
66万株の芝桜や6000本
のエゾムラサキツツジと
500本のエゾヤマザクラ
がピンクに染め上げる。
 
6月開催予定の町民楽しみの祭り
←置戸 「人間ばん馬大会」/訓子府 「芝桜まつり」→
(写真資料:両町HP)
 
人間ばん馬は、
年代や曳く丸太の
重量別にチームで
競い合う大会。
馬券投票も
楽しみの一つに。
オガ・チップ サイロ (集塵装置・井上電設㈱)
夕陽に映えるカラマツ原木の後方に新工場が見える…
 製 材 工 場 ラ イ ン 紹 介
 
 
おけと ・ くんねっぷ 両 町 点 描
クロスカットソー (小林機械工業㈱)
工場棟 858㎡ 木造・準耐火構造 
ツインテーブル (同)
ツインオートテーブル (同)
ノーマンツイン本機 (同)
ノーマンツイン本機チャージャー (同)
原木投入→(石田エンジニアリング㈱)
木取りシステム
 
 訓子府町(くんねっぷちょう)は、同じく常呂郡にある町。町名の由来はアイヌ語の「クンネップ=くろいところ」からという。
 北海道東北部のオホーツク斜面の内陸に位置し、東北は北見市、西北は留辺蘂町、西は置戸町、南は津別町に接している人口約5.400人の町。
 置戸町(おけとちょう)は、旭川から車で約2時間半の常呂郡にある町。町名の由来はアイヌ語の「オケトウンナイ=鹿の皮を乾かすところ」からという。
 北海道東北部に位置し、地形は東西に長く、常呂川がおけと湖から東に向かって流れる。東部は丘陵地帯、西部は山岳地帯で広大な森林が広がる人口約3.200人の町。
出荷を待つ製品
コンパクトチッパー (富士鋼業㈱)