リグナ・ハノーバー2013を見学しての実感は、8年前の2005年辺りから出品者・来場者共に減少気味で、このことは前回の2011年に比べ、さらに10%減の様相を呈していた。最盛期からみると、厳しくみて約35~40%減と言ったところか。流石のリグナも出品者の減少からかホール数も2011年より3ホールも減った。ホール間を周回サービスするシャトルバスの台数も減り、我々が2009年まで利用したコンベンションセンター内のプレスセンターも閉じられ、前回と同じく17ホールの一画に仮設された。またプレス専用車も減り特段不便なことは無いが、これらメッセ会場全体が縮小し、費用節約に努めているようだ。
 世界的な経済が不安定な傾向が当然のファクターであるが、2、30年前の会場の印象と比較すると、館内・外通路の溢れるばかりの人の多さや賑わいが、いまは館内レストランの数も減り昼食時は席も取り難かった往時に比べると、来場者数の減少も否めない。ただ出品機械類は毎回すばらしい進化を続け、特に機械のデザインとカラーリングには殊のほか感心する。
 iPad等の操作も増え、電子機器を駆使した加工形状に特化したメカや歩留まり向上と高付加価値を追及する生産性に対するニーズ以上の開発力と、想像以上と思われる新機種の完成度には目を見張るものがある。現在の機械需要は横バイから頭打ち状態か。或る意味では、新規需要と更新のニーズを併せ持つ安定期に入っている、と捉えた方が多分にいいのかも知れない。
 毎回特定な見方をしているかも知れないが、30数年前に多くの来場者の中に異様な井出達(いでたち)に感じた白シャツ以外は黒の帽子とベストにズボンの黒装束、そして杖を持ったカーペンター(大工職人)の集団が、回を追うごとに激減しているように思う。自宅から100㎞以上離れた親方の下で修行し、徒弟制度による厳しい技術指導を身につけ、一人前を目指す若者が、時代と共に『減ったのかなぁ~』。あるいは、職人技に代わるプレカット機械や他の加工機械の普及が進んだからかは定かでないが、ご承知のとおり我が国でも大工のなり手が減っており、ドイツの若者に共通した点があるのかも知れない。
 さて、6年前のリグナは東欧諸国の需要、中でもロシアにおける設備投資は旺盛で、ドイツからの輸出は20%以上がロシア向けと言われていたが、このところめっきり減ったというよりは、やや持ち直したか、と見た方が適切かも知れない。会場では東欧系の人たちは4年前と比べると減り、北米或いは中東の人、中国系の人たちが、増えていたのが印象的であった。なお、日本からの来場者は回を追うごとに減り前回は寂しく思ったが、今回は多少増えているように思えた。
 各ブースでは活発な商談が交わされている様子も見え、いずれにしても出品物によって成果のばらつきは否めず、相対的には低調なビジネス環境にあることだけは確かであった。ただ言えることは、流石リグナの規模は世界一の木材産業機械のイベントで、機械は進化し続けそのパワーは凄い。一見に値する価値は勿論ある。
機械技術はたえず驚異の進化、
需要は安定期?
編集子の印象
改修工事中のハノーバー駅
   LIGNA2013      PART-2
photo by C.Sakai
Woodfast 13.5-LIGNA-2
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