木材加工・プラントエンジニアリングの株式会社鈴工(三重県伊勢市大湊町656、牛場まり子社長、0596-36-4320)は、2014(平成26)年より輸入販売を始めたイタリアのユニチーム社製大断面集成材及びCLT兼用加工機で製造したCLT(直交集成板)パネルを、住宅構造材に採用した最初の建築事例として8月20・21日の両日、伊勢市内で建築中の現場で構造見学会が行なわれた。両日に参加した見学者は約200名。
 建築中の住宅は在来金具工法とCLTパネルのハイブリッド構法で、柱間の壁パネル及び2階の床パネルにCLTを使用した。
 このCLTパネルは銘建工業㈱(岡山県真庭市、中島浩一郎社長)が製造。また、柱・梁のプレカットとCLTパネルを住宅部材にプレカット加工したメーカーは㈱スカイ(静岡県磐田市、高橋幸嗣社長)で、この両社の製品が建築現場に搬入された後、建て方は約3日間の短期間で施工したという。








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株式会社鈴工
CLTを使用した
“日本初の住宅構造”
見学会開く


株式会社 鈴 工
CLTの使用量は約44㎥、柱・梁の構造材は約15㎥、いずれもスギ材
 敷地面積 約240㎡/建物延面積約152㎡/建て方約3日間    施工=なかむら建設株式会社(伊勢市) 施工写真提供:㈱鈴工
牛場 正人邸(伊勢市) 撮影:8月21日

構造見学会の模様
 見学会を開いた鈴工は、日本はヨーロッパ市場と異なり、既に全国に多数あるプレカット工場のインフラが充実しており、今回の工事でCLT製造工場で仕様に合わせたサイズにパネル加工する。そのパネルをプレカット工場へ納め、最終加工と他の構造材と合わせて出荷する。この試みは、CLTパネル製造工場とプレカット工場の連携事例ができることによって、より一層プレカット工場でのCLT加工のインフラが整備できれば、CLTの普及に加工の分野が繋がるとしている。
 今後、適材適所の部材が採り入れられて、混構造の建築物が増えていく中で、住宅用部材から、大断面集成材、そしてCLTパネルまで、幅広く1台で加工できる機械の役割が益々高くなるとみている。
 なお、21日午後2時30分から伊勢庁舎で、三重県木材協同組合連合会(黄瀬稔理事長)主催で、テーマ「CLTを使った建築物の事例と今後の普及について」セミナーが開かれた。
CLT/大断面集成材加工機(伊・ユニチーム社)   CLT集成ライン(㈱鈴工)
                                            (
上写真3点㈱鈴工提供) 
CLTセミナー講師の京都大学生存圏研究所教授
五十田 博 氏