2014TOKYO国際木工機械見本市でW受賞した庄田鉄工㈱の 
NCルータ「プラネット・ブルー(PLANET BLUE)」
 NC機械メーカーの庄田鉄工株式会社(浜松市北区新都田1-9-2、庄田浩士社長、TEL053-428-6245)が、NCルータを開発した経緯を先ず紹介しよう。
 同社のNCルータの開発は二代目社長の庄田功氏によって、1968(昭和43)年に世界で初めてコンピュータ制御でムク材や厚物合板を加工する機械として誕生した。
 そして開発から半世紀を経た最新機は、加工現場の時代の要求と同時にデザインの多様化や市場に供給される新素材に対応して、常にその加工に最適化したNCルータを開発し続けている。
 最近では、木造建築物の構造材として注目されているCLT(直交集成板)構造躯体の開口部や配線用の穴加工をNCルータで仕上げた各部材を、現場で地組したあと短期間で建て方が行なえ施工日程の短縮が図れているという。
機外に粉塵を出さない
 プラネット・ブルー開発の意図

 NCルータは木質系素材の切削に適しているドライ(乾式)状態で多くは加工する。一方、金属の切削は切削油を使うウエット(湿式)で行ない双方の被切削材は対照的である。
 特に被切削材がドライの場合、切削屑は非常に微細な粉塵となり、さらに加工材が大きければ機械本体が大型化するため、カバーで覆うことは難しい。
 これらの理由からNCルータは、ある程度の集塵機は付けても、あまり吸塵効果は期待できず“粉塵は止むを得ない”という作業環境にある。
 しかし、最近は作業環境に重点をおく企業が増え、切削粉塵が健康に及ぼす影響に配慮している。また、新素材の粉塵は人体のみでなく機械の駆動部の寿命を極端に短くすることもあるという。
 これらの課題に対してNCルータ開発の先駆けとして“業界の常識”を変えることは使命と捉えて、設計スタッフが取り組んだ結果、今回発表した切削粉塵を機外に出さない。また、機内の駆動部に粉塵が影響しないダストを完全に吸塵するNCルータ「プラネット・ブルー(PLANET BLUE)」(特許出願/登録商標)を開発した。
 そして去る10月に開催した「2014TOKYO東京国際木工機械見本市」へ初出品して、林野庁長官賞と併せて来場者の投票による人気コンテストで最優秀賞を受賞するW受賞となった。
 ちなみに機械名のプラネット・ブルーとは、地球環境に優しい、そして人体に優しいNCルータの意味を込めたという。
同機の主な特徴
◇完全ダストフリー
 全体のカバーを完全な密閉構造にするため、根本的に機械の構造を見直し、粉塵の発生するスペースには駆動部が無い構造としたため、機械の安定動作を長期間の維持を可能にした。
◇フラッシュ機能
 加工終了後、自動的にエアーガンで粉塵を吹き飛ばす“フラッシュ”機能を搭載。またテーブルの周囲は360°集塵口のため効率的に集塵ができる。   ↗
加工中は扉下のLEDランプが点滅、加工後集塵終了で点滅が止まる
初出品したNCルータ「プラネット・ブルー」
加工後のクリアな機内と
切削粉を吸塵しながら
作動するヘッド
URL:庄田鉄工株式会社
woodfast '14-11



 フラッシュ機能作動中は機械前面の青色LEDが点滅して、浮遊粉塵が無くなると点灯に変わり、機械のドアが自動的にオープンする。
◇回転ブラシで掃除機能
 ATC(ツール自動交換装置)に掃除用ブラシを収納。主軸の周囲に集塵口があるため、主軸のブラシ回転により加工中の切削粉を効率よく吸塵する。
◇プレッシャー・バランス機能
 密閉したスペースは、集塵機と送風機を組み合わせて、常に大気圧より若干低い気圧になるため、粉塵は機内に閉じ込めた状態になる。